オモニューレクサ プラス(5065N)
オモニューレクサ プラスは、亜脱臼になりやすい脳卒中後の肩関節を懸垂するための装具です。肘関節の拘縮や廃用を防ぐだけでなく、歩容の改善や立ち上がり動作の安定が期待できます。
早期リハビリの開始
脳卒中に対するリハビリは、それぞれの身体状況によりますが、様々な研究から適切なリハビリを早期から開始した方が良いことが考えられます。離床が遅れると体中の筋力低下などが考えられますし、そうなると歩行再獲得までの道も長くなるからです。しかしながら、脳卒中後初期は弛緩性麻痺により肩関節は亜脱臼しやすい状態で、そのときにリハビリを開始するので痛みが発生したり亜脱臼になったりする恐れがあります。
オモニューレクサ プラスは上腕骨頭を求心位に保ち、痛みの発生を防ぎ、早期にリハビリを開始することが可能になります。
上肢のケアで安全な歩行訓練
姿勢の安定と歩容の改善
早期リハビリを開始したユーザーは装着効果がわかりにくいことがありますが、それを支える介助者(セラピスト)は上肢がぶれすぎることなく歩行訓練を行うことができるということをよく聞きます。また、ユーザーにとっても肩関節がしっかりとサポートされることで歩行に集中しやすくなります。さらに、前腕カフを連結することにより上肢の自然な肢位が得られるため、歩行時の過度な腕の振れが抑えられ、姿勢が安定し、歩容の改善が期待されます。
自己装着によるADLの確立
オモニューレクサ プラスは、自立したADLを目指すために独特の形状デザインやベルト構造により、自己装着が可能になっています。脳卒中発症後の早期段階で、肩関節亜脱臼や疼痛予防の目的で使用するだけでなく、社会復帰後の日常生活においても使用することができます。
なお、自己装着の可否は、リハビリの進行度と本人の身体状況によって見極め、必ずリハビリにて十分な訓練を行う必要があります。担当の医師、義肢装具士をはじめとした医療従事者にご相談ください。
装着効果
肩関節(上腕骨頭)の位置改善
写真は肩関節亜脱臼に対し、オモニューレクサ プラスの非装着時(左)と装着時(右)の上腕骨頭の位置をレントゲンで撮影したものです。オモニューレクサ プラスを装着することで、上腕骨頭の位置が改善された様子が確認できます。
装着肢位の比較
前腕カフを連結し、引き上げることで上腕骨頭を関節窩へ引き寄せ、肩関節構成体への負担を軽減します。また、装着肢を肩関節外旋位、肘関節軽度屈曲位、前腕回外位に保持する構造になっており、自然肢位の保持(不良肢位・動作の改善)、歩行訓練時の体幹の安定効果が期待されています。
構造・特徴
シリコーンで懸垂をサポート
懸垂のカギはシリコーンテープ
オモニューレクサの上腕カフと前腕カフの縁にシリコーンテープを施し、皮膚をひっかけて懸垂します。上肢の重さを上腕部と前腕部の2カ所で支えるので、無理なく懸垂できます。三角巾やスリングにできない伸展位での懸垂を叶えました。
*皮膚が弱い方やアレルギーをお持ちの方は医師に相談の上使用してください。
良肢位での前腕保持
前腕カフを連結し上肢懸垂することで、肩関節にかかる負荷を軽減し、疼痛を緩和します。また、懸垂ストラップの走路は前腕回外位に保持することができます
着脱、調整が容易なバックル
胸部の幅広ベルトには、脱着が簡単になるバックルがついています。
バックルを留めたあと、さらにベルトで締め込むことができます。
肩関節の的確な調整
各ベルトを調整することで、上肢を肩関節方向へ引き上げる構造となっています。ベルトは面ファスナーで調整できるため、装着後の微調整も可能です。
腕を通しやすい立体構造
上腕カフ・前腕カフが筒形構造になっており、装着イメージがしやすいだけでなく、腕も通しやすくなっています。
調整が容易なループ状ベルト
上腕カフと前腕カフの調整ベルトは折り返して留めるタイプです。力が弱くても引っ張りながら折り返してしっかり留めることができます。また端が抜けない作りになっているので、片麻痺ユーザーもベルトの端を、難なく見つけられます。
安定した姿勢保持
肩関節を良肢位で保持することにより体幹のバランスが整えられ、全体の姿勢のアライメントを整えることができます
自己調整・自己装着の可能性
特別にデザインされた本体構造により、自己装着を視野に入れられるようになりました。装着訓練を積むことで、実際にご自身で装着してられる方もいます。
しかしながら、Tシャツを着たり、靴を履いたりすることも訓練で習得していく段階のユーザーにとって、肩装具を受け入れ装着訓練をすることは容易ではないことも事実です。早期からリハビリに取り入れ、歩行訓練をする際にも違和感なく装着していくことが、ユーザーの歩容や姿勢を長い目で考えたときに重要であると考えます。
ビデオ
装着時・非装着時の動作比較
オモニューレクサ プラスを装着しての動作訓練をでご覧いただけます。
* ビデオ内で装着している装具は旧型オモニューレクサになりますが、効果に関しては、旧型、新型とも同じです。
装着手順:装着介助する場合
義肢装具士や医療従事者によって装着を行う場合の装着手順をご覧いただけます。
早期リハの際は介助装着が基本となります。ユーザーは装着効果を感じにくい頃ではありますが、客観的な効果が出やすい時期でもあります。介助装着によって効果を出すことが、使用における最初のポイントです。
装着手順:自己装着する場合
自己装着を行う場合の装着手順をご覧いただけます。
自己装着は理学療法士や専門家の元、身体状況に合わせたリハビリを重ねることによって可能になります。
よくある質問
はい、できます。30℃以下のぬるま湯で手洗いしてください。
試着品をご用意しています。ご希望の場合は、各医療機関、および義肢装具製作施設にご相談ください。
はい、できます。ソフトで快適な素材により、長時間装着しても不快感がありません。装着したままリハビリ訓練を行うこともできますので、担当の医療従事者にご相談のうえ、ご利用ください。
初めて装着される際には、必ず医師、義肢装具士をはじめとした医療従事者による調整と装着手順の指導が必要となります。その後、ご自身で装着できるようにするには、リハビリテーションの過程において充分な装着訓練を行う必要があります。
カタログ
5065 オモニューレクサ プラス
試着・購入ご希望の場合
オットーボックの装具製品はユーザーに合うかどうかを確認できるよう、全国の義肢装具士を通じて試着して頂けます。
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