ライナー
オットーボックでは試着用の貸出品を多数そろえています。
試着をご希望の方は、担当の義肢製作施設にご相談ください。
ライナーの役割
ライナーは断端(切断部)に装着し、硬いソケットから断端を保護する役割を果たします。
ライナーと一言に言っても様々な素材を使った製品があり、素材によって性能は大きく変わります。
オットーボックでは、「シリコーン」、「コポリマー」、「ポリウレタン」の3種類の素材の製品をラインナップしています。
実は歩行中のソケット内では様々な動き(引っ張りや捻じれ)が起きています。これらの動きによる摩擦や不快感から断端を保護します。
ソケット環境は、義足の快適性に影響を及ぼすため、ユーザー個々の活動レベル、断端の状態、切断レベル、生活環境に合わて素材の選択は重要です。
本ページでは、ライナーのお手入れ方法や、装着方法もご紹介しています。
下腿義足用のライナー
シリコーンライナーはその素材の特徴から、ピン懸垂と組み合わせて装着します。
その際、ライナーが縦に伸びてしまうと、歩くたびに断端が引っ張られるような不快感を感じ、また同時に皮膚にもストレスを与えてしまいます。
6Y70/6Y75が目指したのは、横方向には伸びやすく、縦方向には伸びない、というシリコーンライナーの理想の形です。
・素材:シリコーン
・外装布アリ
・6Y75:抗菌加工
断端の形状を考えて、立体的な構造を実現した3Dライナーです。
下腿断端は、骨の出っ張りも多く複雑な形状をしています。
そのため、フィット感の有無が履き心地の良さを左右します。また膝関節の動きを妨げない事も重要です。
そんな下腿の解剖学的な形状に着目し、骨突起部の保護、快適な装着感、膝の曲げやすさを追求した結果生まれたライナーです。
・素材:シリコーン
・外装布アリ
・抗菌加工
外装布がないため、水にぬれても簡単に拭く事ができ、防水加工義足アクアラインとの組合せでも安してお使いいただけるライナーです。
・素材:シリコーン
・外装布ナシ
6Y95クッションライナーは、前面は6mm厚で骨突起部をしっかりサポート。後面は3mm厚なので膝の曲げ伸ばしを妨げません。
コポリマーは、非常に柔らかくクッション性が高いという特徴があります。
そのため、3Dクッションライナーは、ソフトインサート代わりの使用にも適しています。
・素材:コポリマー
・外装布アリ
・6Y95=L:ピン懸垂仕様
低活動ユーザー向けのライナーです。
今までの低活動ユーザーの選択肢である”ソフトインサート”は、衛生面が課題でした。コポリマーライナーなら、毎日洗って清潔に保つことができます。
・素材:コポリマー
・外装布アリ
・6Y90:ピン懸垂仕様
ポリウレタン製のライナーです。
縮のスピードが皮膚に類似しており、引き攣れなどのストレスが非常に少ない事が大きな特徴です。除圧やクッション性にも優れています。
さらにポリウレタンの持つ流体特性により、骨突起部の多い下腿断端を均一に保護してくれます。
・素材:ポリウレタン
・外装布ナシ(左)/ 外装布ナシ(右)
大腿義足用のライナー
大腿切断では、大腿部の軟部組織を固定することがとても重要です。
オットーボックのシリコーンライナーは、そうした大腿義足ユーザーのニーズに応えるために、しっかりサポートする工夫が詰まっています。
・素材:シリコーン
・外装布アリ
・6Y85:抗菌仕様
大腿切断特有の豊富な軟部組織を、適切な位置に収納することを目的に、生まれたのが3Dライナーです。立体構造で断端全体にフィットするため、部分的な圧迫や緩いといった不快感を軽減してくれます。
・素材:シリコーン
・外装布アリ
・抗菌仕様
リングがソケットに密着する事でソケット内を密閉し、バルブによって空気を抜くことで吸着させ義足を懸垂します。
断端長の長さによって2種類のリング位置から選択する事ができ、安定した吸着力を得る事ができます。
・素材:シリコーン
・外装布ナシ
・抗菌仕様
ライナーの装着方法
オット―ボックのライナーの外側(外装布/外表面)は、装着しやすいように滑りやすい工夫が施されています。
ライナーを着脱する際は、外側(外装布/外表面)を滑らせるようにします。
① ライナーを折り返します。
② 空気が入らないように、外側を滑らすように装着します。
*ピン仕様の場合は特に、ライナーの向きに注意します。
*下腿義足の場合は、膝の裏がシワにならないように注意して装着します。
③ オット―ボックのライナーは丸めないようにします。
④ ライナーが損傷する恐れがあります、爪を立てないようにしてください。
ライナーのお手入れ方法
① ライナーを裏返し、ぬるま湯と中性洗剤で、肌に触れる内側を手洗いします。
*この時、香りの強い洗剤や染料の入った洗剤は使用しないでください。
*洗剤が残らないように、よくぬるま湯で洗い流し、糸くずの付かない布で水分を拭き取ります。
*ライナーを表に返して外側を、ぬるま湯で洗う、または濡れ布巾で拭きます。
② 一晩干して完全に乾かします。
*乾燥機やドライヤー等は使用しないでください。
ライナー素材の特徴
ライナーと一言に言っても様々な素材を使った製品があり、素材によって性能は大きく変わります。
オットーボックでは、「シリコーン」、「コポリマー」、「ポリウレタン」の3種類の素材の製品をラインナップしています。
シリコーンの特徴
シリコーンは、最も一般的なライナー素材です。
他の材質と比較して、耐久性が高く、清潔を保ちやすい特徴があります。
一方でポリウレタンやコポリマーと比較すると、材質が硬く、皮膚へのフィット感は劣ります。
オット―ボックのシリコーンライナーは、表面の特殊処理によって、シリコーン特有のベタベタした感触を解消しています。
そのため、皮膚の引きつれ感を防ぎ、着脱時も快適です。
<オットーボック独自の技術>
抗菌加工を施した製品もラインナップしています。
オットーボックのライナーに施された抗菌加工には、この黄色ブドウ球菌の繁殖を抑制する働きがあります。
ソケット環境を衛生的に保つための嬉しい効果です。
コポリマーの特徴
柔軟性が高く、クッション性に優れているため、骨ばった断端の方でもフィット感が向上します。柔らかいため膝の曲げ伸ばしもしやすい特徴があります。
熱を加えると形状が変化するため、履いているうちに断端の形状に沿いうため、周径変化のある場合にも最適です。
また、スポンジインサートの代わりとして使用した場合、ライナーは洗浄が可能であるため衛生面が向上します。
一方で局所的な圧には弱く、他の素材に比べると耐久性に劣ります。
そのため低活動の方への使用に適しています。
ポリウレタンの特徴
収縮のスピードが皮膚に類似しており、引き攣れなどのストレスが非常に少ない事が大きな特徴です。除圧やクッション性にも優れています。
さらにポリウレタンの持つ流体特性により、骨突起部の多い下腿断端を均一に保護してくれます。
優れた適合をもたらす反面、ポリウレタンには汗を吸いやすいというデメリットがあります。
毎日のお手入れは、特にしっかりと行う必要があります。
<オットーボック独自の技術>
ポリウレタンは優れた素材ですが、加工が非常に難しい素材です。
オットーボックは、独自の技術で既製品化に成功し、唯一ポリウレタンライナーを取り扱うメーカーです。(2020年末現在)
義足の関連製品
義足の懸垂システム
義足を懸垂するためのシステムです。
どの懸垂システムを使用するかは、切断レベル、断端の状態、義足に対する要求、さらには装着しやすさなどを考慮し決定されます。
ハーモニー懸垂システム
ハーモニーシステムは、強制的にソケット内の空気を外に排出するシステムです。
ソケットとライナーの間の空気を取り除く事で、高い陰圧状態を作り出し、非常に優れた懸垂を実現します。