オットーボックの筋電義手
筋電(表面筋電位)とは、脳の命令により筋肉が収縮する際に発生する微弱な電流のことです。
筋電義手では、この筋電を専用の「電極」で採取し、モーターを動かすスイッチとして利用します。モーターが動くことでハンドが開閉し物を「つかむ」「離す」という把持動作ができるようになります。
筋電義手の特徴
他の義手と異なり、操作用のハーネスも不要です。そのため、どの位置でも開閉操作をする事ができます。筋電義手の大きな魅力の一つです。さらに把持力が非常に強いので、重量のあるものや、薄いものをしっかり掴む動作が非常に得意です。
この把持力の強さと、作業空間を選ばない特徴が組合わさる事で、生活の幅が格段に広がります。
筋電義手を試してみたい方は、担当の義肢製作施設または医療機関へご相談ください。

筋電義手システム
オットーボックの筋電義手には、「マイオボックシステム」と「アクソンバスシステム」があります。
「マイオボックシステム」は、日本国内に修理拠点があるため安心してお使い頂けます。
ミケランジェロハンドと組合わせて使用するシステムです。ミケランジェロハンドは、拇指の位置(対立位・ラテラル位)を筋電シグナルで切替える事が可能です。
身体のどの位置でも操作でき、把持力が強い事が、筋電義手の魅力です。
長年の実績により、世界中の多くのユーザーに使っていただいています。
小さい頃から筋電義手を使い両手動作を習得する事で、日常生活でできる事の幅が広がります。お子様が使いやすい把持力が充分に備わっています。
マイオプラス(MyoPlus)は、様々な把持パターンやローテーター機能を、ユーザーの自然な感覚、直感的な動きで制御する事を目標に開発されたシステムです。
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義手総合カタログ 2019
筋電義手トレーニング パーソナルコーチ
開発の歴史 ~オットーボック筋電義手~
「MYO(マイオ)」とは、もともとギリシャ語で「筋肉」を意味する「MYS」から派生した言葉で、「Myoelectric=筋電」のように、他の言葉に接続され「筋肉」と関連言葉となりました。
1965年
1965年、オットーボック社(ドイツ本社)のマックス・ネーダーにより、筋電を利用した「オットーボック システムハンド」が開発されました。
初代は、ハンドメカニズム、インナーハンド、コスメテックグローブの3つのパートに別れたハンド、そして外付けのバッテリーボックス、ケーブルによる構成でした。
オットーボック社の筋電義手開発にあたり、以下のことを念頭に開発を進めました。
・自然への尊敬心を失ってはならない。
・人工的に作られた手がいくら精巧、精密になろうとも、決して人間本 来が与えられたものを超えられないことを忘れてはならない。
・自然への尊敬心は最先端の技術を駆使して考えることへの否定ではなく、新しい道を引き出すことである。
1973年
1973年、6Vバッテリーを使用する方式の筋電義手が開発されました。
義手のサイズも大幅に小型化され、軽量化を実現しました。
同時に外付けのバッテリーボックスも装着する必要がなくなり、実用性が格段にアップしました。
1979年
1979年、作業用グライファーが開発されました。
グライファーの登場により、筋電義手を使用しての職場復帰への道が大きく広がりました。
1990年
1990年、小児用の筋電義手システムが開発されました。
子供の頃から筋電義手が使えるようになりました。
1998年
1998年、筋電義手用の肘継手エルゴアームが開発されました。
上腕義手においても筋電義手が使いやすくなりました。
2004年
2004年、センサーハンドスピードが開発されました。
ストレスなくハンドの開閉を行う事ができるようになり、筋電義手ユーザーの操作性が格段にアップしました。
ハンドの開閉スピード:最大300mm/秒
さらにセンサーハンドは、拇指のセンサーで掴んでいる物が滑り落ちるのを感知し、把持力を上げ滑り落ちるのを防ぎます。
2008年
2008年、バリプラススピードが開発されました。
センサーハンドスピードと同等の開閉スピードを持ちながら、価格を抑えて使用の可能性を広げました。
ハンドと作業用グライファーがあります。
作業用グライファーの開閉スピード:最大200mm/秒
ハンドの開閉スピード:最大300mm/秒
2011年
2011年、ミケランジェロハンドが開発されました。
マイオボックハンドより、機能面だけでなく、外観も自然な筋電義手がほしいというユーザーの強い要望から誕生しました。
拇指が対立位だけでなくラテラル位に筋電シグナルで切替える事ができ、操作性の幅が広がりました。